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腰痛の原因③  腰椎椎間板ヘルニア

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腰椎椎間板ヘルニアとは

私たちの体を支えている背骨は、首から腰まで、頸椎が7つ、胸椎が12、腰椎が5つ(さらにその下に仙椎、尾椎、いわゆる尾てい骨)で構成されています。その背骨と背骨の間にあって、クッションの役割を果たしているのが椎間板です。椎間板は、中心部分にゼリーのような髄核があり、それを硬い線維輪が覆っています。線維輪が破れて髄核が飛び出してきたものを「椎間板ヘルニア」と呼びます。5つある腰椎のうち、4番目と5番目、5番目とその下の仙骨との間で起こることが多いです。

 

椎間板ヘルニアの原因

椎間板には常に圧力がかかっています。体を起こして座っているだけでも、上半身の重みがかかりますし、前かがみになって中腰の姿勢になったり、重いものを持ち上げたりするとさらに大きな力が加わります。日常のそうした何気ない姿勢、動作の繰り返しが椎間板ヘルニアの原因となります。

下のグラフは、立っている時に椎間板にかかる圧力を100としたときの、それぞれの姿勢での椎間板にかかる圧力を数値化したものです。意外にも、座っている姿勢が140と立位よりも椎間板に圧力が加わるのですね。前かがみでは150、立位の1.5倍、立って前かがみで荷物をもつときには2.2倍にもなるのです。

椎間板の髄核は水分を豊富に含んでいますが、年齢とともに水分量が減少し、弾力が失われることが知られています。日常動作の繰り返しや加齢により、線維輪に裂け目ができ、圧力が加わることで、髄核が飛び出します。それが脊髄神経を圧迫することで、足の痛みや痺れを引き起こすのです。

 

椎間板ヘルニアの症状

椎間板ヘルニアの症状は、飛び出した椎間板の大きさや場所によって様々です。椎間板が飛び出すと、腰痛(ぎっくり腰)が数日みられます。椎間板ヘルニアがその後方にある脊髄神経や、中心部から枝分かれした神経根を圧迫することで下肢の痛みや痺れを引き起こします。特に、臀部から太もも・ふくらはぎの外側や裏側にビリビリした痛みやしびれが生じたものを、いわゆる「坐骨神経痛」といいます。通常は左右どちらか片方の神経を圧迫する程度の大きさです。片足にしびれや痛みが走るときは、椎間板ヘルニアの可能性が高いため、専門医を受診しましょう。

 

椎間板ヘルニアの診断

一番大切なことは、椎間板が出ているかどうかではなく、神経が圧迫されて症状を引き起こしているかどうかです。

診察では、どのような姿勢で痛みが強くなるのか、椎間板ヘルニアによって神経をいためていないか、神経学的な診察を行います。下肢伸展挙上試験、大腿神経伸長試験では神経の通り道を引き伸ばして痛みが出現するかどうかを確認します。

また、下肢の筋力低下がないかどうか、腱反射が弱くなったり強くなったりしていないか、感覚が鈍くなったりしていないかを確認し、いためている神経の部位を特定します。

 

 

整形外科が専門とする病気やけがの診断には、レントゲンが欠かせません。椎間板ヘルニアを診断する上でも、必ずレントゲン写真を撮り、背骨の並び方やバランス、骨の変形の程度を確認します。しかし、レントゲンで椎間板のあるべき『隙間が狭くなっている』=『椎間板ヘルニア』ではありません。

椎間板ヘルニアを診断するには、CT、MRI、脊髄造影、椎間板造影検査といった検査が必要です。なかでもMRI検査は強力な磁場を発生させて体の断層画像を作る装置で、椎間板ヘルニアをよく映し出すことができます。放射線被ばくの心配もありませんし、針を刺すこともありませんので、安心して検査を受けることができます。

神経学的な診察と、画像検査を組み合わせて、総合的に診断します。

 

椎間板ヘルニアの治療

症状のある腰椎椎間板ヘルニアは2−3ヶ月以内にかなり小さくなって自然に良くなる例もあるため、飲み薬やブロック注射により症状を和らげる保存的治療を行います。また、リハビリを行い、筋力強化、ストレッチ指導などによる症状改善・再発予防を図ります。

保存的治療を行っても症状が悪化する、特に下肢の脱力感が悪化する場合や、排尿排便の障害が出るような場合には手術が必要となることがあります。手術が必要になるのは2割から5割と言われており、椎間板ヘルニアの症状や脱出形態によります。手術が必要な患者さんは脊椎専門医のいる病院をご紹介します。手術後のリハビリやアフターケアは当院でしっかり行っていきます。

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